スピルバーグ監督のVRへの警鐘

スティーブン・スピルバーグ監督は2016年のカンヌ国際映画祭でVRや360°パノラマ映像に対しての可能性を示唆しながらも、映像としての演出手法での監督の意図を伝えることが出来るかという警鐘を鳴らしています。

VR技術を「伝統的な映画製作にとって危険な進歩になるかもしれない」と指摘。この技術がもたらす視野の自由により「作り手が見せたいもの」より「観客が見たいもの」が優先されること。そして「全方位を見渡せて、どちらを見るか決められる世界に没入したとき、ストーリーが忘れられなければよいが」と懸念を述べています。
(2016年05月22日”HUFFPOST”The Blogより)
https://www.huffingtonpost.jp/engadget-japan/steven-spielberg-vr_b_10100668.html 

これは決してVR技術やVRコンテンツを否定するものではないと思います。それどころか、VRの持つ可能性に対してもっと理解を深めながら取り組んでいこうとする意欲に満ちた言葉だと理解します。そういう意味でVRは今までの映画的手法とは違うものだと考える必要があります。

名作映画『ウェストサイドストーリー』(1961年)のリメイク

そんな彼が、1961年の名作『ウェストサイドストーリー』をわざわざ60年ぶりにリメイクしたのには古き良き時代の名作映画に対するリスペクトと深い思いがあったのだと思います。60年前の物語にあるエッセンスは決して色褪せることはなく、新たな技術の中で再生されました。その演出手法にはむしろ、そこから学ぶべきことの方が多いかもしれません。

そして、『レディプレーヤーワン』(2018)で近未来のVRメタバースの世界を描いています。その中では映画『シャイニング』の世界に入り込む主人公たちなどが描かれ、リアルとバーチャルがVR世界の中で混ざり合う不思議な空間を作り出しています。