5 ドームスクリーン Dome Screen
いわゆるプラネタリウムにおける映像送出の形態がそのままドーム投影されたものを指します。古くはOMNIMAXやアストロビジョンと呼ばれ博覧会の定番でしたが、近年はラスベガスThe SphereやCOSMなどのLEDドームとして登場しています。日本では科学館と呼ばれるプラネタリウム、ドームスクリーン施設が300館近くあります。
プラネタリウムの誕生
プラネタリウムの歴史は、1923年にドイツのカールツァイス社が世界初の光学式投影機を発明したことから始まりました。日本では 大阪の大阪市立科学館の前身である「大阪市立電気科学館」に、東洋初となるカールツァイス製投影機が設置されました。
国産化の始まり(1958年): 発明家の信岡正典とミノルタ(現・コニカミノルタ)が協力し、初の国産レンズ投映式プラネタリウムを完成させました。また、五藤光学研究所も独自の方式で国産開発を牽引しました。
普及期(1960年代〜): 明石市立天文科学館や渋谷の五島プラネタリウムなどが開設され、名機の「MS-10」などが全国の教育施設やホールへ広く普及しました。
コンピュータ制御(1980年代〜): 自動演出装置やコンピュータ制御が導入され、演出が多様化しました。
ドームに映しだす映像
OMNIMAX ドームシアターの源流
前述のとおり、1973年、アメリカ・カリフォルニア州のフリート・サイエンス・センターに世界初の常設オムニマックスシアターがオープンしました。ドームスクリーンを前方へ25〜30度傾け、客席も階段状(スタジアムシート)に傾斜させて全員を同じ方向へ向かせるという画期的な構造を考案しました。これにより、観客は首を痛めることなく、まるで「宇宙空間にふわりと浮遊している」かのような、圧倒的な一体感を味わえるようになりました。通常の映画の約10倍の面積を持つIMAX 70mmフィルム(15p/70mm方式)」を横方向に走らせ、超広角の魚眼レンズを使ってドーム内壁に一発で投影しました。これにより、視界の端まで一切ボケない、驚異的な解像度の全天周空間が完成しました。
※70㎜フィルムの実サイズ

1981年、神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア’81)の『ダイエーパビリオン体験劇場』で日本初のオムニマックスが登場しました。建物自体が「地面から45度の角度でそびえ立つ直径31メートルの巨大な斜めの円柱」という衝撃的なデザインでした。ここで上映された『ワールドコースター<地球一周19分>』は、観客がまるでジェットコースターに乗って世界中を爆走しているかのような主観映像であり、あまりの迫力に「映像酔い」する観客が続出しました。
1985年、つくば博覧会の富士通パビリオン(コスモドーム)
それまでのオムニマックスは実写フィルムが中心でしたが、富士通は直径20メートルの傾斜ドームを使い、世界で初めて「全天周の3D・CG映画(『ザ・ユニバース』)」を上映しました。
1989年にはデンマーク(コペンハーゲン)『ティコ・ブラーエ・プラネタリウム(Tycho Brahe Planetarium)』が常設館として登場しました。
日本でもオムニマックスのドーム型シアターが作られました。
横浜こども科学館(現はまぎん こども宇宙科学館)
日本の科学館として、早い段階でドーム型大型映像システム(宇宙劇場)を常設した施設です。1981年のポートピア博覧会でオムニマックスに衝撃を受けた技術者や市民の熱意に応える形で導入されました。直径23メートルの傾斜ドームを誇り、宇宙のドキュメンタリーから自然科学の映像までを上映し、首都圏の子どもたちに「映像に囲まれる」原体験を提供しました。
大阪市立科学館
関西におけるオムニマックスの聖地です。直径26.5メートルという世界最大級のドームスクリーンを擁し、プラネタリウムの星空投影とオムニマックス映画を同じ巨大ドームで切り替えて上映していました。『ハヤブサ』の帰還ドキュメンタリーなど、オリジナルコンテンツの開発にも力を入れていました。「映画を観るために科学館に行く」という新しい文化を作った象徴的な場所です。
大宮市宇宙劇場
「グランドキャニオン」をはじめとする、実写ならではの超高精細な自然の映像をドームいっぱいに投映しました。駅前でいつでも異空間にトリップできる「都市型イマーシブ」の先駆けです。
鹿児島市立科学館
本物の「70mm超巨大フィルム」による本物のオムニマックス上映を維持し続けています。
ドームシアターの現在位置
「ソアリン:ファンタスティック・フライト」
東京ディズニーシーのメディテレーニアンハーバー 世界中の名所や大自然をめぐる人気の大型シミュレーター型アトラクション
代表的な「ドームシアター」である日本科学未来館の「ドームシアターガイア」、国立天文台4D2Uドームシアターや、科学技術館(東京都千代田区)の「シンラドーム」などがあります。
日本プラネタリウム協議会(JPA)の最新データブックによると、これまでに国内で設置された施設は累計486カ所にのぼり、そのうち298施設が現在も実際に運営・公開されています。
世界全体には、現在およそ3,000〜4,000施設のプラネタリウムやドームシアターが存在しています。
国際プラネタリウム協会(IPS)などのデータによると、移動式のモバイルドーム(学校などを巡回する膨らませるタイプのドーム)を含めると4,000カ所以上、固定された常設施設だけでも世界100カ国以上に3,000施設以上が稼働しています。
世界には、規模や技術の面で日本の施設に負けない規格外のシアターがあります。
プラネタリウム No.1(ロシア・サンクトペテルブルク)
ドーム径37mを誇る、世界最大の巨大ドームシアターです。
ジェニファー・チャルスティ・プラネタリウム(アメリカ・リバティ科学センター):ドーム径27mで、西半球(南北アメリカ大陸)で最大のサイズを誇ります。8K解像度のプロジェクターシステムを搭載
ビイラ・プラネタリウム(インド・コルカタ):収容人数630席
オムニ・シアター(シンガポール)
世界最先端の8K LEDドームシステムを導入
221席。
ザ・テック・インタラクティブ IMAXドームシアター
280席ラップアラウンド型(包み込み式)IMAXドームです。世界初のドーム専用レーザープロジェクターと13,000ワットのデジタルサラウンド音響により、深海や大自然のドキュメンタリー映像の中に自分が完全にトリップしたかのような錯覚を味わえます。
フュチュロスコープ(Futuroscope 仏)
映像技術をテーマにした未来型パークで、複数のドームシアターが集結しています。足元までスクリーンが広がる「フライングカーペット」スタイルのシアターや3D・4D映画、さらには座席がダイナミックに動くライドアトラクションなど、世界でここだけのドーム映像体験が可能です。
「L’Extraordinaire Voyage」
「Tornado Chasers」
台風をテーマにした科学映像体験です。円形の座席が油圧で駆動して、曲面スクリーンに映し出された映像を鑑賞する4D5Dアトラクションです。

デジタル式・LEDドームの登場: 全天周の映像をデジタルで投影するシステムが普及。近年ではドーム自体が発光する最新の「LEDドーム」なども登場し、よりリアルで鮮やかな星空表現が可能になっています。




